05 子ども・若者  移住者の子どもと若者の学びと進路

 

 外国ルーツの子ども・若者の高校進学に関しては、進学率の低さと制度の問題点、支援の必要性が指摘されて久しくなります。この10年ほどの間に、不十分でさまざまな問題点はあるものの、各地で外国ルーツの公立高校受験生に対して、特別枠の設置や特別措置の実施などの取り組みがなされるようになってきました。

 その一方で、高校進学後の学習面や生活面でのサポートについては、高校が「義務教育ではない」という建て前のもと、なおざりにされてきたというのが実際のところではないでしょうか。そのため、「日本語指導が必要な児童生徒」の高校中退率は、全国平均に比して非常に高いことが文科省の調査で報告されています。

高校に入学できなかったり、中退せざるを得なかったりする子ども・若者たちの進路は大変深刻な問題ですが、たとえ高校を卒業できたとしても、日本で自分たちの将来を切り拓いていこうとするとき、子どもたちの前にはさまざまな壁が立ちはだかっています。

 

 本分科会では、主に高校入学後の子ども・若者の学びと進路に焦点を当て、議論を深めていきたいと思います。大きく分けて二つのテーマで報告を受け、それぞれに関して参加者とともに考えていきたいと考えています。

以下、二つのテーマです。

 

(1)  ビザと進路について

「家族滞在」など、本人の在留資格によっては、週あたり28時間のアルバイトしかできず、正社員への道が閉ざされたり、奨学金を受けられずに進学を断念せざるをえなかったりするといった問題が顕在化しています。この間、法務省が取った救済措置の内容と、その適用の実際について、実例を交えながら報告していただきます。また、今後どのような改善が必要となるか考えます。

(2)高校での受け入れシステムについて

特別枠や特別措置など、東京都立高校の入試における現状と、入学後の支援の取り組みについて、現場教員の立場と、学校現場に支援に入っているNPOのそれぞれの立場から報告していただきます。全国各地での取り組みなど、参加者の皆さんからの報告もいただいて交流していきたいと思います。

 

 

《報告者》 高橋 徹(移住連[子ども・若者プロジェクト 担当])、

      西尾 加朋(OCNet、レガートおおた)

      角田 仁(都立高校教員)

      琴崎 馨(OCNet)     

 

《司会》  大串 信(都立高校教員)