06自治体施策  改定入管法と地方自治体~総合的対応策を中心に~

 

 昨年の入管法改定に伴い、入国管理局が出入国在留管理庁に改編され、「法務省が総合的調整機能を持って司令塔的役割を果たすこと」(骨太の方針)が具体化し、第1条〔法の目的〕に出入国管理に在留管理が加えられ、名実ともに外国人の在留管理の強化が明確になった。関係閣僚会議では「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(以下、「2018対応策」)が確定し、合計126の施策と総額211億円の予算が提示された。しかし、126の施策は、「外国人材の受入れ・共生に関して、めざすべき方向性を示すもの」で、行政・生活情報の多言語化・相談体制、生活サービス環境、日本語教育、外国人の子どもの教育、労働環境整備などを掲げるが、従来の「地域における多文化共生推進プラン」(2006年3月総務省、以下、「2006プラン」)や、「『生活者としての外国人』に関する総合的対応策」(同年12月外国人労働者問題関係省庁連絡会議、以下、「2006対応策」)と比べても、取組むべき課題には新鮮味がない。国の責任を明記せず、財政支援を伴わず、総じて地方自治体に「丸投げ」されたものが「2018対応策」では、ようやく国の施策として主管省庁が明示され、予算が措置されたことが挙げられるが、いくつかの事業は、国の補助率は2分の1とか3分の1で、地方自治体は残額を「持出し」となり、財政が逼迫する自治体では受託し事業実施するのは困難が伴うと推測できる。

 こうした中、分科会では自治体政策に密接に関係してくる「2018対応策」を中心に検討を加え、問題点や活用の方法などを明らかにしたい。また、総合的対応策の施策番号93~95に記載された国民健康保険や国民年金、さらには住民税の滞納等の情報を自治体から提供させて在留期間更新や在留資格変更を不許可にするなどの対策を講じることの問題も議論したい。滞納問題は自治体の自立支援や貧困対策であり、在留管理と連携させるべきではないと思われるが、この点も検討したい。

 

【報告】

1 榎井縁(大阪大学教員)「外国人材受入れ・共生のための総合的対応策と地方自治体」

2 糸井昌信(群馬県大泉国際交流協会長)「総合的対応策をどのように受けとめているのか-外国人集住都市の立場から」

3 質疑討論(論点)

・改定入管法施行後の変化、総合的対応策の問題点など(自治体からの報告を中心に)

・総合的対応策の活用について

・自治体業務と入管法との「連携」のあり方について

 

<司会> 高柳俊哉(さいたま市議会議員)・山田貴夫(元川崎市職員、現大学講師)