09 日本語教育 「働く現場」で求められる「日本語教育」~まずは知ることから~

 

 「働く現場」「日本語教育」と言えば、少し前までは、いわゆる「ビジネスジャパニーズ」。教材にも何かしらの方向性がありました。多くの日本語教師がイメージしていたのは、「ネクタイをしめ、スーツを着て、オフィスで働く外国人」だったのではないでしょうか。

 しかし、技能実習制度が導入され、さらに定住外国人が増加する中、様々な「働く現場」に外国人の姿が見られるようになりました。改定入管法により「働く」外国人はさらに増えていくでしょう。「ネクタイ+スーツ」の外国人で[fy1] はありません。厚生労働省は人手不足産業や成長産業などでの人材確保の支援を目的として、定住外国人を対象に「外国人就労・定着支援研修」を実施。文化庁は、2019年度、「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」をスタートさせ、「「生活者としての外国人」のための日本語教室空白地域解消推進事業」、「日本語教育の人材養成及び現職者研修カリキュラム開発事業」(「就労者に対する日本語教師研修」を含む)を進めています。超党派の日本語教育推進議員連盟(会長・河村建夫元官房長官)は「日本語教育推進法案」をまとめました。(本原稿執筆時は法案未成立)。

 大きな社会の動きや変化の中で、やっと今、日本語教育にもそこそこの期待がかけられ、同時に、相応の責務を負わされていると感じます。今回、初めて、本フォーラムの分科会テーマに「日本語教育」が加わったことも、そんな現状を反映しているのかもしれません。

 そこで、まずは、「働く現場」にとても近いところで、どんな風に日本語教育が行われているのかを知ることから始めたいと思います。「技能実習生」への日本語教育を専門に行う日本語学校、きぼう国際外語学院(栃木県)の栗又由利子さん、「介護」の日本語教育に長く携わる野村愛さん(首都大学東京オープンユニバーシティ講師 )にお話いただきます。そして、鈴木隆史さん(株式会社栄鋳造所 代表取締役)には外国人を雇用する側の立場からの率直なご感想をうかがいます。「働く現場」と「日本語教育」の接点をさぐりながら、参加者それぞれが立場の違いをこえて話し合い、考え合える場になればと願っています。

 

<プログラム> 

1 趣旨説明

2 発信1「技能実習生に対する日本語教育」(栗又由利子さん)

3 発信2「介護分野の日本語教育」(野村愛さん)

4 発信3「外国人社員を雇用する中で考える日本語教育」(鈴木隆史さん)

5 「働く現場」で求められる「日本語教育」(発信者3名を中心にディスカッション)

 

 <司会> 矢崎理恵(社会福祉法人さぽうと21)